ファムファタールの奴隷になる「製麺堂てつ」千葉県鎌ヶ谷市のつけ麺店

今回は千葉県鎌ヶ谷市にあるつけ麺店「製麺堂てつ」について、子連れで行った感想をまとめさせていただきます。

つけ麺の衝動

美味しいつけ麺が食べたい!!

唐突な衝動が頭のてっぺんから足のつま先までを走り抜ける。平日にこれが起こっていたらもう目も当てられない苦しみに耐えなければいけない。しかしこの日は幸運なことに土曜日だった。

国分寺に住んでいた20代の頃は、ラーメンやつけ麺に困ることはなかった。あの街はいわゆる「ラーメン激戦区」のひとつとして西東京で名を馳せ、いくつものハイクオリティな店舗が我こそは!」と駅前の限られた土地に林立し、しのぎを削っていたからだ。いまでこそ有名な「ムタヒロ」などは行きつけのお店のひとつで、1号店ができたときから通っていた。

美味しいラーメンも美味しいつけ麺も、食べたいときにちょろっと歩けばすぐに食べられる。そんな環境に10年いた私にとって、この衝動は死刑宣告のようなものだった。

とはいえ鎌ヶ谷もラーメン店の層は比較的厚い。問題は昼の限られた休み時間に歩いては行けないということだ。東京暮らしの人生を想定して学生のときに運転免許をとらなかったツケをこのような形で払い続けることになるとは思いもよらなかった。

だから休日であるこの日はとても幸運である。私は早速、スマホで美味しそうなつけ麺店を探し始めた。

行列のできる人気店だった!

今回行くことにしたのは「鎌ヶ谷製麺堂てつ」。この日はこれでもかというほどぶっとくてコシのあるつけ麺が食べたかった

お店の前まで行くと、もう午後だというのに駐車場はギリギリまで埋まっていた。さらに入り口には人だかりが。ラパンを降りて様子を見に行くと案の定、入店の順番待ちだった。鎌ヶ谷ではあまり見かけない人気店っぷりに期待が高まる。

とはいえ子連れかつこのご時世に人の集まる空間で順番待ちをするのは気が引ける。少し我慢してもう少し時間をずらそうか。そんな話をしていると、たまたまお客さんの入れ替わりのタイミングだったようで人だかりが急に減った。なんてラッキーなのだろう。ちょうどお店がすく時間にジャストミートしたのである。食券を買って席への案内を待つ間も外のベンチでゆっくり座れることとなった。こうしてこれから子供との格闘を乗り越えながらつけ麺を食べる体力の準備はちょうど良く整えることができたというわけだ。

娘も今か今かと待ち遠しそうだ。
日替わりの特別メニューもある

「いい女」のようなつけ麺

別日に注文した特製つけ麺(中盛)とミニカレー

結論から言うと、私たちは一度ですっかりこの「製麺堂てつ」のトリコとなった。以来、何度も訪問している。

若干お店が混んでいるという点においてはハードルとなりうることだが、店員さんは子連れに優しいし、2卓ある座敷席が空いていれば優先して座らせてくれるお子様イスもあるし、大きな声を出されたとしてもお客さんのガヤガヤでかき消される

また嬉しいサービスとして、子供ひとりにつきジェネリックなチュッパチャップスをひとつプレゼントしてくれる。また「女子盛」を選択するとデザートもついてくる。妻も大喜びだった。

ただし、このように女性や子連れにとって訪れやすい条件がそろっているばかりではない。何よりもまず、つけ麺のクオリティが半端ではなかった

麺はつるつるしこしこ。グミグミとした弾力を持ちながらも噛めばプチっとあっけなく分裂する。小麦同士の結合のしかたを解説して欲しくなるほどのコシの強さなのだ。甘めで濃〜いドロドロ魚介つけ汁と合わせて口にすすりこむと、最高のハーモニーが鼻から耳へと流れ込む。メルティキッスか!といいたくなるほどまったり甘い幸せな時。

しかしそれでいてしつこくなく、あっさりと次の一口へと意識を切り替えられるのも不思議だ。まるでそこに居るだけで男を惑わし、人生を狂わせる魔性のファムファタール

つまり、このつけ麺はいい女なのだ。

また上にのっているチャーシューにも度肝を抜かれた。このお店では「バラチャーシュー」と「ロースチャーシュー」という2種類のチャーシューが用意されているのだが、「特製つけ麺」の場合は3枚を好きな組み合わせで選ぶことができる。私は前者を2枚、後者を1枚で注文した。

「バラチャーシュー」はつけ汁の中にとぷんと浸かっていて、「ロースチャーシュー」は写真のように麺の上に堂々といまそかっている。「バラ」はどろっとしたつけ汁という俗世の欲望にまみれながらも自分を曲げない頑固で力強い男のよう。一方で「ロース」は、高貴なセレブリティで高い知性をもちながらも無謀さと高慢さを兼ねそろえた若く美しい男性のような、あっさりかつ濃厚な美味しさ。いずれにせよ、ファムファタールの色香に毒され愛の奴隷となったハイスペックな男たちのある意味、成れの果てである。だんだん表現がわけのわからない内容に聞こえてきたかもしれないが、要はめっちゃ美味いということだ。

ちなみに普通の「つけ麺」の場合でもどちらか片方をのせることができるので安心して欲しい。特に私はこのロースチャーシューが気に入ってしまったので、初回以降は「ローストポーク丼」なるものも単品で頼むようにしている。

ロースチャーシュー丼。高貴なチャーシューをお試しあれ。
通常のつけ汁に辛味を加えた「うま辛つけ麺」もお気に入りだ。
ミニカレーも豚の脂の旨味が凝縮していて美味しい。
妻が注文していた「煮干しラーメン」。一口味見したが、煮干しはもちろんのこと、玉ねぎの香りも効いていて極上だった。
子供たちには大好物の餃子を食べさせる。
「女子盛」だとデザートがついてくる

そんなわけで、あっという間に私たちのお気に入りの一店となった「鎌ヶ谷製麺堂てつ」。

鎌ヶ谷でつけ麺を食べたい!という衝動に悩まされた方には中毒必至なので、むしろ注意に近いほどオススメのお店である。

店舗情報

住所:〒273-0115 千葉県鎌ケ谷市東道野辺3-3-16

駐車スペース18台分
営業時間11:00〜22:00
(材料なくなり次第終了)
無休
新型コロナウイルス感染拡大等により、
営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。
ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
電話番号047-401-8287
席数32席

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