謎の巨大遊具がある街『南相馬市』 その感想をまとめました!

福島県の太平洋沿岸にある南相馬市。相馬野馬追(そうまのまおい)という馬のお祭りが有名で、東日本大震災の被災地としても知られています。現在沿岸地域は多くのソーラーパネルが立ち並んでいたり、ロボットの実験場があったりと、別記事でご紹介している陸前高田市とはまた違った復興を遂げています。

今回はそんな南相馬市について、私たちが子連れで見学・観光した感想をまとめさせていただきます。その魅力や食べたものについてはもちろんのこと、散策で失敗したことやその解決方法なども掲載しているので、ぜひ子連れお出かけの参考にしていただけたら幸いです。

▼今回のスポットの地図はこちら▼

子連れで行った感想

南相馬には広い海水浴場があり、砂浜を踏みしめながら壮大な海の景色を楽しめます。その端にそびえる火力発電所もかなりの迫力

さらに、すっごく楽しそうな公園もありました。

お城のような外観見たことないくらいの角度の何か延々と続くスライダー。子供も、子供心をもつ親も大興奮間違いなしの巨大遊具。もちろんヒナと一緒に意気揚々と駆け上りました。

しかしこの時は真夏の湿気によりケツの摩擦係数が異常に高まる季節。大人の体重をもってしても、全く滑れませんでした。のちほどこの公園の詳細についても記述させていただきます。

注意点まとめ

次に私たちが現地で困ってしまったことや気づいた点についてまとめさせていただきます。解決方法については下の「こちら」をクリックで、記事のその部分に飛ぶことができます。

■沿岸にものすごく楽しそうな遊具がある公園があるが、夏はNG。お尻の摩擦があまりない季節に行くべし。
→詳細を早く知りたい方はこちら

それではここから、南相馬市での様子を写真とエッセイでお楽しみいただけたらと思います。

この旅二箇所目の被災地訪問

この日は快晴2ヶ月もの長期にわたる東北滞在が終わる日。妻の妹にお礼をいって拠点を後にし、私と妻とヒナ2羽と大荷物を載せたラパンは千葉県への道を走っていた。

帰り道は出来るだけのんびりしよう。そう決めていた我々は、あらかじめ寄り道する場所を決めていた。そこは福島県南相馬市。ここもまた、東日本大震災の津波被害が大きかった被災地である。

私が初めてこの地を訪れたのはいまからちょうど8年前、震災から2年後の夏だった。ギタリストの友人とふたりで楽器だけをもって東北を巡り、この地でTHE BACKHORNの『キズナソング』を演奏した。

当時の海沿いエリアは、ただひたすら草原が広がっていたと記憶している。その草の中をよく見ると家の土台がくっきりと残っていて、実は周囲一帯がかつては住宅街であったことを物語っていた。それに気づいたとき、とても衝撃を受けたことを覚えている。

あれから長い年月が経って、かつて見た地がどのように変化しているのかが気になった私は、帰りは南相馬市で高速を降りようと妻に提案したのだった。

昔ながらのお魚屋さんで
お刺身を食べる

高速を降りた私たちはまず南相馬市の道の駅へと向かった。時刻は14時半を回っていたものの、遅めの昼食をとろうと思ったのだ。(もちろんヒナ2羽はすでに済ませている。)

しかし残念なことに道の駅にあった食堂はすでに終わろうとしていた。そこで私たちは相談の結果、道を戻って高速近くにある魚屋さんで刺身を直接買おうということに。

そこはいかにも昔ながらのお魚屋さんといった雰囲気で、地元の方々が慣れた様子でカツオなどをその場で捌いてもらっていた。こういうお店で買い物をするのが初めてだった私はどう頼んだらいいのか分からず、結局すでに捌いてパックに入っているカツオと海老となめろうを注文。どこをどう買うかの指示が出来れば、他の常連さんと同様にその場で魚を捌いてもらえたと思うので少し悔しい。

とはいえ新鮮な魚介はとても美味そうで、コンビニで箸と醤油を買って妻と二人ですぐに平らげた。たまにはこういうのも悪くない。お魚屋さんでの注文の仕方くらい覚えておこう。

このようにラップがかけられていた

海辺の方へ

遅めの昼食を終えた私たちはそのまま海の方向へとラパンを走らせた。南相馬市は陸前高田市とは違い、中心街が海からかなり離れている。だいたい15分くらい進んだ頃、やっとナビに海が表示されはじめた。

周囲からは建物が消え、大量のソーラーパネルが視界のあちこちに広がる。中には広大な土地を活かした「ロボットテストフィールド」という施設もあった。どうやらロボットの実験場だと思われる。津波によって失われてしまったエリアを住宅街でも市街地でもない形で再興していることがわかった。

さらに海に近づくとごく僅かではあるが草むらの中に家の土台だけが残っているエリアも散見された。どうやら空き地のままのようである。近くに小山があり、土地が狭く起伏があるからソーラーパネルは置きづらかったのだろうか。

家の土台が残るエリア

海岸線は公園となっていて、その駐車場は何人もの海水浴客やサーファーで賑わっていた。もう16時を回っていたので既に帰ってしまったのだと思うが、どうやらお昼頃にはさらに多くの人々が海を楽しんでいたことがうかがえる。

そう思いながら海の様子を見に行くと、「海水浴禁止」と書かれた看板が立っていた。駄目じゃん、海水浴

砂浜には荒々しい太平洋の波が押し寄せ、波風が吹き流れていた。なんだか千葉の九十九里浜を彷彿とさせるし、きっとここもかなりのサーフィンスポットであるに違いない。陸前高田の穏やかな海とはまた対照的な表情をしている。

奥には壮大な火力発電所がそびえていた。荒い波と快晴の青空と、そこにクッキリ浮かぶ発電所。まるで映画のワンシーンのようでとてもカッコいい眺めだった。

左手奥に見えるのが火力発電所である。

謎の巨大遊具

再びラパンを走らせまた市街地の方へ向かおうとすると、何やら派手な建造物が木々の間からチラリと目に入った。

これは気になりすぎる!とっさにその場でラパンを道端に寄せて、私と息子だけで偵察に行くことに。それは予想通り公園の遊具だったのだが、とにかくデカい。やけに長い滑り台や見たこともないほどの傾斜の何かがあった。

まるでウォータースライダーのように長い滑り台。
これも滑り台のようだが、傾斜がバグっている。

いや、これは完全に男心をくすぐられすぎた。まずは傾斜の異常な滑り台をやってみようと思い、遊具の階段を駆け上がる。しかしいざ落下しようと思って滑り台に手をかけたその時。

じゅううううう。

…熱っつゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!?

金属で出来たこの遊具は、カンカン照りの日差しによって火にかけた中華鍋くらいの熱さと化していた。本気で火傷しそうだったし、熱でポップコーンのようにぴょおおおん!?と飛び上がって本当にフリーフォールしたら家族が路頭に迷うのでやむなく断念した。

ちくしょう。ならば次はクソ長い滑り台をやってみよう。そう思って私はさらに遊具の階段を駆け上がる。息子は手足が短く歩みが遅いので右手に抱えた。そして永遠に続くかと思うほど長くて狭い螺旋階段を登りきると、遊具の頂上へと到着していた。

高ァァァァァァァァァ!?

怖い。階段は壁に囲まれ景色がほとんど見えなかったので、自分がガチガチの高所恐怖症であることを忘れていた。めちゃくちゃ怖くて急に足がガクガクと震えだす。しかし息子は不思議そうに私の様子を眺め、ホール状になった滑り台の入り口を指差して

いこうね、いこう。

わかってるよ!ここまできたら行くしかないよッ!と思い、息子を抱きかかえてその入り口に腰掛ける。さあ、終わりの始まりだ。息子よ、運命を共にしよう。死ぬときは、一緒だ!!

妻と娘に遺書を書こうと思ったが、面倒なのでやめた。さあ、滑るぞ。みんな、ありがとう。さようなら。来世でまた会おう。覚悟を決めて、足を使い大きく身体を前へと傾ける。

しかし、何も起こらなかった

私と息子の身体は、滑るどころかその場を数ミリほどしか移動していない。不思議に思い、もう一度身体を前に漕ぐ。結果は同じだった。

どうやら湿気で、ケツの摩擦係数がありえないくらい高くなっていたようだ。まったくお尻で滑れないので逆四つん這いのような体制になりながら、少しずつ滑り台を下へと降りていく。結局は、全長20メートルはありそうなロングスライダーを息子と一緒に手足を全力で使って、ゆーっくりと歩き降りるハメになった。なんだこの作業は。身体中が痛い。

結論として真夏ではなく、滑り台がフライパンになったりケツが吸い付いたりしない秋や冬にこの公園へ来ることをオススメしたいと思う。絶対面白そうなのに少し時期が悪い。しかし滅多に見られない珍しいものを見れてとてもいい経験だった。

▼この公園の詳細はこちら▼

名称:きぼうの桜(宇宙桜)

住所:〒975-0022 福島県南相馬市原町区北泉脇

平穏を取り戻した街

道の駅の看板は震災前から変わっていないようだった。津波によって消失した場所にはシールが貼ってある。

こうして私たちは南相馬市を出発した。本当はカフェにも寄りたかったのだが、目当ての場所は残念ながら閉店してしまっていた。まあ、そんなこともある。

南相馬市の海岸沿いは陸前高田とは全く違う種類の復興方法を選んでいた。陸前高田が新しい街づくりに取り組んでいるのに対し、こちらは震災前の平穏を取り戻すことに力を入れていることが窺える。

失われた住宅街は再興するのではなくソーラーパネルや研究フィールドとして再利用し、住民は中心街の方へ移住することを選択した。これはそもそも中心街が壊滅してしまった街には出来なかったことではあるが、これから新しい街を盛り上げようという一体感と活気はなかった。そのかわり10年間を経て既に平穏な日常を取り戻せている様子だった。

夕ご飯は同じく福島県のいわき市にある四倉パーキングエリアでとることにした。ここにはレストランがあり、なかなか美味しい穴場だという情報を得たからである。

次回は東北編の最後の記事としてこのレストラン、「よつくら亭」についての感想をまとめることにする。

南相馬市の市街地へ戻る途中。立派な松。なにかの記念物のよう。


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