【経験談】出産で実際に支払う費用はいくら?利用できる制度など出産費用にまつわるすべてを徹底解説!

ついに赤ちゃんができた!それはとてもおめでたいことですよね!

しかしわからないことが沢山あるとワクワクよりも先に不安や心配が押し寄せてきてしまうと思います。

どんな風に生活が変わるのだろう…。

いったい何が必要なのだろうか…。

本当に人の親になんてなれるのだろうか…。

特に私たちは突然の出来事でもあったので、正直そのような想いが頭をめぐりました。中でもやっぱり一番心配になったのは、お金についての問題。

出産費用にもその準備にも何十万円ものお金がかかる。勝手なイメージでそんなふうに思ってしまっていたので、不安はとどまるところを知りません。

しかし二人目の子供も1歳を超えて、さらに三人目までもお腹にいる今となってはそんなことは笑い話。だって実際はそんなことありませんから。

実は赤ちゃんを生むということにそんな高額なお金は必要ないのです。そこで今回は初めての妊娠が発覚した全ての方々に向けて、私たちの体験談を含めながら、実際にかかるお金や利用できる制度について解説していきたいと思います。

出産費用について
調べるときの注意点

不安になったときに皆さまはネットで検索して調べると思います。もちろん私たちもそうでした。だからこそ、断言できます。

ネットに出てくる記事の情報を鵜呑みにしては絶対にいけません

…当たり前のことなんですけどね。というかこれもネット記事なのに何を言っているんだと思われるかも知れません。

もちろん、すべてが間違いだとは言いません。正確には、情報のソース(出どころ)をしっかりと確認してほしいという意味です。

この章では闇雲に信じてはいけない情報と、信じても大丈夫な情報の見分け方についてご説明していきたいと思います。

分娩費用に関する記事の多くは
金融機関が発信している

ネットで「出産 費用」もしくは「分娩 費用」と検索します。すると様々な記事がずらりと表示されると思うのですが、そのいくつかを開いてみてください。意外なことに金融機関や保険会社が掲載している記事が多いことが分かると思います。

これらの内容は決してそのまま信じてはいけません。なぜかというと、その記事の目的は文書を読んだうえでローンや保険を組んでもらうことだからです。それゆえ、余分に不安を煽るようなつくりになっています。

ただし嘘が書いてあるわけではありません。真実がわかりづらいように書いてあるのです。例えば出産育児一時金(後ほどご説明いたします。)を差し引かない50万円ほどの値段を出産費用の相場として書いています。これは確かに嘘ではないのですが、実際はそこから42万円引いて考えて大丈夫です

それ以外にも例えば無痛分娩の費用を軸に計算してあったり、入院する部屋が完全個室であることを前提にしていたり。出来るだけ高い値段を相場として提示することで、見事に初産の方々の不安を煽るように書かれているのです。私も当時は見事に焦らされました

決してその情報だけを読んで、焦ってローンや保険は組まないでください。正しい情報をしっかりと把握してから、どうしても必要な場合だけ利用を検討しましょう。

そして金融機関・保険会社以外の記事について。これは大体のところ産院のホームページや個人ブログになってくるのかなと思います。

まず産院の記事は基本的に正しい情報が書いてあるので、ぜひ参考にしてください。これらの記事の目的は不安を煽ることではなく、安心して出産できる病院として選んでもらうこと。そのためには信用してもらう必要があるわけですから。

出産までの流れや気をつけるべきこと、必要なものの情報まで掲載してあったりするので隅々まで記事を読むことをオススメします。ただし産院によって考え方は様々。決して1箇所だけではなく、いくつか他の施設が発信している情報も合わせて読んだ方がいいでしょう

続いて個人のブログ記事について。正直、先輩たちの経験談に勝る情報はありません。ある意味、産院の記事よりも貴重です。ただし、これは書いている人にもよるので注意が必要です。

自分たちが経験しているわけではないにもかかわらず、偽って適当な情報を掲載している場合もあり得るのです。見分ける方法として、本人と子供の写真が掲載されているものを選ぶのがいいかと思います。それならば確実に子育てはしているということですから。肖像権があるので勝手に他所の親子の写真を使っている、なんてことはほぼないでしょう。

準備品に関する記事の多くは
ベビー用品メーカーが
発信している

これはさらに分かりやすいと思うのですが、「出産 準備するもの」などで検索をかけると1ページ目にはほぼ100%、メーカーの記事が出てきます

言わずもがな「商品を出来るだけ多く買ってもらう」ことを目的にした記事ですから、書かれている通りに購入してしまうとあっという間に莫大な費用が必要となります。

準備品については、まず誰かの経験談を読むのが良いと思います。情報の正しい・正しくないを判別する手段は「費用」のときと同様ですね。先輩ママたちの話をまとめたサイトや質問箱を利用して経験談情報を集めるのもいい方法です。でもたまにわざと不安を煽るイジワルな方もいるので注意しましょう

加えて私は、メーカーの提示している各商品のレビューにも目を通していました。こちらもいわゆる「さくら」レビューというものが含まれている場合があるのですが、10〜20ほどの数に目を通せば本当の感想が何となくわかります。特に必要ないものに関しては「うちは使わなかった」とか「要らない」とか率直に書かれている場合が多いです。

<この章のポイント>

①「誰が」発信している記事なのかを判断する。
②金融機関やローン会社の記事は信用しない。
③産院の情報は正しい。個人ブログは他の記事などの写真から、本当に子育ての経験があるのかをチェックする。
④メーカーの記事を鵜呑みにしてはいけない。
⑤必要なものの情報は個人ブログや先輩ママの声を集めたサイトから。
⑥メーカーの記事に掲載された商品のレビューからもある程度の必要性がわかる。

実際にかかる出産費用の
相場は5〜12万円ほど

産院を検索すると、どこも大体45〜50万円ほどの価格が書かれていると思います。青ざめてしまう方も多いかと思いますが、安心してください。その全額をあなたが支払いすることはありません。なぜならば健康保険に加入している方ならば全員「出産育児一時金」という助成金が受けとれるからです。次の章で詳しくご説明しますが、基本的には病院であれば42万円が支払われるのでその差額をあなたが負担することになるわけです。

※ただし産院によってはいったん立て替える必要がある場合もございます。

私の場合は入院費など諸々の合計で長男(一人目)は56,000円、長女(二人目)は116,000円と実に6万円もの差がありましたが、だいたいそのどちらも相場どおりくらいの出産費用です。ただしこちらも後ほど詳しくご説明しますが、タイミングや出産方法によっても価格には大きく差が出てきますので、あくまで参考として頭に入れておいた方がいいでしょう。

<この章のポイント>

産院のHPに書いてある出産費用は「出産育児一時金」を差し引いていない金額。

出産育児一時金の利用方法

先ほどから何度か登場している「出産育児一時金」とはいったい何のことなのでしょうか?この章ではその内容について詳しく解説し、他の利用できる給付金についてもご紹介させていただきます。

出産育児一時金とは

「出産育児一時金」は健康保険に加入している全ての人に対して保険組合、もしくは市区町村から給付されるお金です。その金額はというと、病院で出産する場合は胎児ひとりにつき一律42万円。医療機関でない助産院の場合は一律39万円。各施設が提示する分娩費用を大きくカバーしてくれる給付金制度となります。

もちろん社会保険でも国民健康保険でも同様に支給されますのでご安心ください。私たちは当時から今もずっと国民健康保険加入家庭です。内容は全く一緒ですが国保の場合は支給元や申請書の提出先は保険組合ではなく、市区町村となります。

なぜこのようなお金が支給されるのか。それは出産行為が健康保険の対象外となってしまうからです。

妊娠や正常な分娩というのは病気や怪我ではありません。むしろ健康な状態ですので、健康保険の定義からは外れてしまうということです。ただし帝王切開や切迫早産・切迫流産は「正常な分娩」ではないので保険の対象となり3割負担が適用されます

出産育児一時金が支給される対象となる期間は、妊娠85日目以降であること。85日を過ぎてさえいれば流産、早産、死産、人工妊娠中絶も含まれます

出産育児一時金の
受け取り方法

一時金の受け取り方法は大きく分けて3種類あります。

それは「直接支払い制度」と「受取代理制度」と「事後申請」。

「直接支払い制度」はその名の通り、保険組合(もしくは市区町村)から出産する産院に給付金が直接支払われます。利用する人は産院で手続きをするだけで済みますし、立て替える必要もありません。

ただし、この直接支払い制度を導入していない産院もあります。その場合は「受取代理制度」を利用しましょう。申請を保険組合(もしくは市区町村)に対して提出する、という点で「直接支払い制度」とは異なりますが、こちらも利用者自体が料金を全額立て替えるということはありません。ちょっと支給の仕組みが異なるだけで、行うべき手続きもそこまで変わらないと言えるでしょう。名前が違うだけ、くらいに思っていて大丈夫だと思います。

しかし三つ目はお金を全額いったん立て替える必要があります。それが「事後申請」。

「直接支払い制度」も「受取代理制度」も導入していない産院の場合はこの手段をとる必要があります。ちなみに私の義妹が出産したときはこの方法で一時金を受け取ったそうです

後でお金が支給されるとはいえ、一度に45〜60万円ほどのお金を支払う必要があるのでかなり負担が大きいといえます。可能な限り避ける方がいいでしょう

ちなみにメリットが全くないというわけではありません。クレジットカードで支払いすればかなりポイントがたまります

出産育児一時金の申請方法

「直接支払い制度」の場合の申請方法は最も簡単。産院で用紙に名前をサインする、それだけです。窓口で10秒ほどで終わる手続きだったので個人的には少々不安になりましたが、それでOK。しっかり病院に一時金が支払われていました

「受取代理制度」の場合は、申請書に必要事項を記入して保険組合(もしくは市区町村)に提出します。それで終了です。私たちは経験していないので調べましたが、提出する書類はこのようになっていて、必要な事項は保険証番号・名前・出産予定日・口座番号だけのようです。

「事後申請」の場合は出産後に申請用紙、産院との合意書、分娩に関わるすべての費用の明細書をそろえ、保険組合(もしくは市区町村)に提出する必要があります。申請を済ませれば、だいたい2週間から2カ月程度で指定の銀行口座に一時金が振り込まれるという流れになるそうです。

海外での出産にも
一時金は給付される

日本の健康保険に加入している人が海外で出産する場合も同様に一時金の給付が受けられます。ただしこの場合は必然的に「事後申請」をする必要がありますので、出産費用は一度立て替える必要があります

また場合によっては出産した地域の自治体の証明や医療機関の証明が必要となります。それがもらえない場合でも、戸籍謄(抄)本・戸籍記載事項証明書・出生届受理証明書・母子健康手帳・住民票があれば手続きを完了することが可能です。

外国籍の方にも給付される

意外に思われるかもしれませんが、外国籍の方にもしっかりと出産育児一時金は支給されます。なぜならば観光を除く長期滞在者には皆、健康保険への加入義務があるからです。健康保険に加入している以上、日本国民と何ら変わらない手順で受け取ることが可能になります。

<この章のポイント>

①「出産育児一時金」は基本的に出産するすべての人に対して適応される。
②「直接支払い制度」のある産院であれば手続きはサインのみ。その他の受け取り方法も難しくはない。
③「事後申請」の場合はいったん全額立て替える必要がある。
④海外での出産でも一時金は給付されるが、いったん全額立て替える必要がある。
⑤外国籍の方でも日本に滞在していれば給付される。

その他の利用できる給付制度

出産育児一時金について詳しくご説明させていただきましたが、実はその他にも出産について利用できる制度がいくつかあります。

出産手当金

「出産手当金」とは、出産のために会社を休まなければならなくなった場合に社会保険から支払われる手当金です。つまり働くママさんが受け取れるお金ですね。出産育児一時金と同時に支給してもらうことができるので非常に心強い制度です。

対象となるのは出産日の42日前から56日後までの期間。この約3ヶ月分の期間内に会社を休んだ場合、その日数分の手当金が支給されます。ちなみに生まれたのが双子以上の場合は出産日前98日からとなり、さらに2ヶ月近くの期間が追加されます。

1日あたりの支給額は、日割りにした給料の3分の2。10円未満は四捨五入されます。また、会社を休んでも給与の支払いがあった場合、給料の額が出産手当金の額を下回っているときのみ、その差額が支給されることになります。

そして非常に残念なことに、国民健康保険の加入者は対象ではありません

育児休業給付金

また雇用保険に加入している人は「育児休業給付金」という手当金を受け取ることが出来ます。その条件としては

①雇用保険の被保険者であること

②2年間で就業日(賃金支払基礎日数)が11日以上である月が12ヵ月以上あること

③休業期間中にもともとの給料の8割以上の金額が支払われていないこと

④休業中の就業時間が80時間以下であること

これらを満たしていれば基本的に対象となっていると考えてよいでしょう。ただこちら少々条件が複雑なところもあり、男女でその内容が異なるところもあるので会社の人事部などに相談してみる必要があるかと思われます。

ちなみに経営者や個人事業主は雇用保険とは縁がありませんので、私たちもこの恩恵にあやかることは出来ませんでした。残念。

高額療養費制度

帝王切開や吸引分娩など、いわゆる「異常分娩」に分類される出産方法の場合は健康保険の適用があります。そして同時に、高額療養費制度の対象ともなります。

この制度は、年収によって規定された自己負担限度額を超えた医療費が全額戻ってくるというもの。人それぞれ基準となる金額は変わってきますが、3割負担した金額がだいたい以下の表の金額(赤字)を超えた場合はこの制度の対象となると考えていいでしょう。

(参照:https://hoken.niaeru.com/media/social-security-tax/kougaku-ryoyouhi-birth/
<この章のポイント>

①「出産手当金」は条件を満たせば日割り給料の3分の2が休職期間分だけ支給される。
②国民健康保険加入者は「出産手当金」の対象外
③雇用保険に加入している人は「育児休業給付金」も支給される。
④「出産育児一時金」「出産手当金」「出産手当金」「育児休業給付金」この4つは全て並行して給付してもらうことが可能。
⑤「高額療養費制度」によって、規定の自己負担限度額以上の医療費が返ってくる。

分娩費用は状況によって
大きく変わる

実際のところ分娩費用はまさにケース・バイ・ケース。地域や施設の種類によっても費用の相場は変わってきます。

施設によって
4.5万円ほどの差がある

一言で産院といっても、その種類は大きく分けて3つあります。

まずは産婦人科がある総合病院。メリットはなんといっても安心感ですよね。内科や外科など他の診療科が備わっている上に院内での情報共有も容易いことから、出産・入院中に何か大きなトラブルが起こっても対処できる可能性が高いです。ただし風邪やインフルエンザなどの患者さんも出入りする施設ですので、院内感染は少し心配になります。また後述の専門産院のほうが清潔感があって綺麗なことが多いので、入院中の居心地は劣ってしまうといえるでしょう。出産費用の相場は51万円ほどで、3種類の施設の中ではもっとも高くなります。

そして二つ目は産科・婦人科専門の病院です。総合病院には劣りますが、しっかりとした設備が整っている環境であれば安心できると思います。またスタッフや医師の数は少ないですが、ひとりひとりとしっかり向き合ってくれる印象です。加えてご飯が豪勢なことが多く、綺麗な個室でストレスのない入院ができるでしょう。費用の相場は50万円ほどとなります。

三つ目は助産院です。費用相場は46.5万円と一番安く、総合病院と比べて4.5万円ほどの差があります。その理由は医師が常駐していないため、自然分娩のみを対象としているからです。医療行為をすることはできないので、異常なトラブルが起きた際には外注医師や医療機関との連携をとる仕組みになっています。

都道府県によって
最大22万円以上の差がある

また地域によっても出産費用の相場は変わります。大きな都市では高くなりますし、地方では低くなるのです。

最も費用相場が高いのはやはり東京都で約62万円。最下位の鳥取県は約39万6,000円(※いずれも公益社団法人国民健康保険中央会より)で、なんとその差は22万4,000円もあるのです。里帰り出産をするかどうかで悩んでいる方は、その値段について比較してみるのもいいでしょう。

休日・夜間は割増料金になる

曜日や時間によっても分娩費用は大きく異なります。私たちの長男と長女の出産費用にはかなりの差があるのですが、その理由のほとんどがこれでした。

その値段は産院によってさまざまですが、基本的には通常の分娩費用にプラスしてかかるものだと考えてください。私たちの長女の場合は休日で夜間だったので6万円ほど多くかかりました

私たちの場合

それでは2018年当時、私たちが実際に支払ったお金のお話をさせていただきます。

まず出産予定日の3ヶ月ほど前に病院へ「分娩予約金」という形で50,000円を支払いました。病院・産院によって価格は様々だと思うのですが、大抵はこの予約金制度が取り入れられていると思います。

このお金は出産が終わった後、実際にかかった費用から差し引きされます。仮に分娩費用と入院費が46万円だった場合、出産育児一時金の支給分42万円を差し引いて実際に病院に払うお金は4万円になりますので、予約金のうち1万円は手元にかえってくることになります。

私たちの場合は出産を終えてから窓口で6,000円を支払いました。つまりかかった費用は分娩費用・入院費等を合わせて56,000円だったというわけです。しかも、大部屋が空いていなかったので妻は個室で入院していました。その部屋代3泊分24,000円がプラスされてこのお値段だったので、はっきり言ってかなり安かったといえるでしょう。

その理由は平日の昼間に生まれたということ。休日料金と夜間料金が一切かからなかったのです。大部屋さえ空いていれば予約金が返ってきた計算になるので惜しかったところですが、ストレスのない個室に入院できて良かったと思います。面会時も気楽に病室にいられたので、初めての小さい家族との時間をゆっくりと過ごすことができました。

ちなみに二人目の子供の時は逆に休日の夜間…。部屋は2日目まで大部屋だったのですが、合計で10万円を越すことに。しかしそれでも相場の範囲内でした。

<この章のポイント>

①出産費用相場は総合病院が51万円、専門病院が50万円、助産院が46.5万円。
②東京都は一番出産費用相場が高い。
③分娩費用には休日料金や夜間料金が別にかかる。
④ほとんどの病院・産院では出産前に費用の一部を支払う「分娩予約金」という制度がある。

出産方法によっても
分娩費用は変わる

問題なく通常分娩が出来ればいいのですが、初産の場合は身体が慣れていないこともありトラブルも起こり得ます。その場合は状況に応じて帝王切開や吸引分娩などの処置を行うことに。保険適用により3割負担になるとはいえ、突然大きな金銭的負担がのしかかることになるので事前に想定をして備えておくことが必要です。

帝王切開

例えば一番ありうるケースである帝王切開。逆子などの理由によって最初から帝王切開が予定されているケースのことを「予定帝王切開」、出産時に意識を失ってしまったなどの理由で急遽自然分娩から帝王切開に切り替えたケースのことを「緊急帝王切開」と呼びます。

実はどこの病院で出産をしても帝王切開にかかる費用は同額で、「予定帝王切開」の場合は20万1,400円、「緊急帝王切開」の場合は22万2,000円。健康保険適用により、このうちの3割が自己負担となるので実質は約6万円です。また前置胎盤の合併や早産など複合的な処置が組み合わさった場合、そこに2万円が追加されることとなります。

吸引分娩・鉗子分娩

また破水している・子宮口が全開になっている状態で、赤ちゃんの頭に器具が届くようであれば、吸引分娩や鉗子分娩がおこなわれます。ただし帝王切開とは異なり、かなり緊急性が高くなければ正常分娩のうちに分類されてしまい、健康保険の適用外となってしまいます。

その費用は6,000円~2万5000円ほどが一般的。保険適用となればそのうちの3割負担となるのでそこまで大きな加算にはなりませんが、赤ちゃん側には頭血腫(とうけっしゅ)や帽状腱膜下血腫(ぼうじょうけんまくかけっしゅ)、ママ側には会陰・腟壁・頸管・尿道・膀胱の損傷のリスクがあり、可能な限りは避けたい出産方法です。

緊急事態に備えて
出産費用+10万円は
用意しよう!

持病などをお持ちで出産時に上手くいきめない方は、帝王切開や吸引分娩に切り替わる恐れがあります。しかし出産の現場では何が起きるかわかりません。あまりの痛さに気絶してしまっていきめない、なんてこともあり得ます。

いずれの処置も入院日数は確実に伸びますから、これから出産を予定される方は必ず予備費用を10万円ほど用意しておくのがいいでしょう。

<この章のポイント>

①帝王切開の費用はだいたい実質6万円
②吸引・鉗子分娩の費用は6,000円~2万5000円ほど
③入院日数は必ず伸びるので、その費用分も含めて10万円は予備で用意する。

無痛分娩という選択肢

またその他に無痛分娩という出産方法を選択することもできます。費用は上がりますが、出産の痛みをほとんど感じないで赤ちゃんを産むことが可能になります。それだけの強い麻酔を打つわけなのですが、産院によれば基本的に命に関わるような危険はないとのこと。

ただし沢山の出産エピソードを聞いてきた産後マッサージの方が言うには、病院の公開している情報にはないリスクがあるとのこと。あまり出回っていない貴重な情報が聞けたので、ここに記しておきたいと思います。

無痛分娩の費用

産院や地域によってもさまざまですが、だいたいは5〜10万円ほどの費用がかかることが多いようです。ただし年々その料金は上がっている傾向にあるので、そのうちにプラス10万円くらいが相場になってくるのではないかといわれています。

効かなくても費用はかかる

強い麻酔とはいえ、2011年以降で死亡事故は5件ほど。これだけ聞くと、じゃあ高くなっても無痛分娩の方がいい!となる方は多いと思います。しかし麻酔を打っても効かなかった場合、どういう対処をしてもらえるかの説明をしてくれる産院は少ないんじゃないかと思います。

結論から言うと、麻酔を打てるのは一回限り。効いても効かなくても、費用は麻酔を打った行為に対してかかります。

つまり効かなかった場合、通常の激痛をともなう出産を無駄に5〜10万円ほど上乗せしておこなうことに。お金を沢山用意していたとしても、かなりもったいない結果となってしまいます。

そこで気になるのは、麻酔がどのくらい効かない場合があるかということですよね。

ここから先は2020年に二人目の出産後に産院が提供してくれるマッサージの方から聞いたお話ですので、数字的なデータではありません。

私たちが利用した産院は最新設備を取り入れた無痛分娩が優秀だと評判です。それを目的にわざわざ違うエリアから出産をしにくる方もいらっしゃいます。そんな施設ですら、どうやら麻酔が効かない確率はそこまで少ないわけではないとのこと。

また麻酔がたとえ効いたとしても、その加減しだいでは上手くいきめず帝王切開になります。このケースは聞いた限りでは多いようで、見事な落とし穴といったところですね。この場合は麻酔費用と帝王切開の費用の両方が負担になってしまいます。

これを聞いて私たちは驚愕しました。幾多もの無痛分娩の経験者さんをマッサージしてきた方がいうお話なのですから、かなり信憑性はあるのではないかと思っています。

信じるか信じないかはあなた次第です。

<この章のポイント>

無痛分娩は魔法ではない。帝王切開になることが多いという情報もある。

産院を選ぶコツ

分娩をする病院を決定する前に、その分娩費用・入院費用は必ず比較しておくべきだと思います。ただし安さを最優先してしまっては安心できないので、十分に設備が整っている場所を選ぶべきでしょう。

私たちは自宅からタクシーで5分以内ほどの産院に決めました。値段は相場ちょい上くらいでしたが、なによりも家から近いので、もし切迫早産などのトラブルがあったときでも安全です。

また最新設備が整っているので、出産中にトラブルがあった時も対処はスムーズで安全だと考えました。なにが最新なのかは専門家ではないのでわからないところはありますが、私たちの場合はホームページの作り込みをひとつの判断基準にしています。Webへの意識が低い産院が最新設備を取り入れているというのはちょっと考えづらいと思った次第です。

<この章のポイント>

①安さよりも安心を基準に選ぶ方がいい。
②Webページはチェックする。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は誰もが不安になる出産費用について、その相場や私たちが実際に支払った費用、利用できる制度や料金についての注意点などについて可能な限り詳しく解説させていただきました。今回各章でポイントとなった点は以下の通りです。

<ネットで出産費用について調べるときの注意点>

①「誰が」発信している記事なのかを判断する。
②金融機関やローン会社の記事は信用しない。
③産院の情報は正しい。個人ブログは他の記事などの写真から、本当に子育ての経験があるのかをチェックする。
④メーカーの記事を鵜呑みにしてはいけない。
⑤必要なものの情報は個人ブログや先輩ママの声を集めたサイトから。
⑥メーカーの記事に掲載された商品のレビューからもある程度の必要性がわかる。
<実際にかかる出産費用の相場について>

産院のHPに書いてある出産費用は「出産育児一時金」を差し引いていない金額。
<出産育児一時金について>

①「出産育児一時金」は基本的に出産するすべての人に対して適応される。
②「直接支払い制度」のある産院であれば手続きはサインのみ。その他の受け取り方法も難しくはない。
③「事後申請」の場合はいったん全額立て替える必要がある。
④海外での出産でも一時金は給付されるが、いったん全額立て替える必要がある。
⑤外国籍の方でも日本に滞在していれば給付される。
<その他利用できる制度について>

①「出産手当金」は条件を満たせば日割り給料の3分の2が休職期間分だけ支給される。
②国民健康保険加入者は「出産手当金」の対象外
③雇用保険に加入している人は「育児休業給付金」も支給される。
④「出産育児一時金」「出産手当金」「出産手当金」「育児休業給付金」この4つは全て並行して給付してもらうことが可能。
⑤「高額療養費制度」によって、規定の自己負担限度額以上の医療費が返ってくる。
<出産費用相場の差について>

①出産費用相場は総合病院が51万円、専門病院が50万円、助産院が46.5万円。
②東京都は一番出産費用相場が高い。
③分娩費用には休日料金や夜間料金が別にかかる。
④ほとんどの病院・産院では出産前に費用の一部を支払う「分娩予約金」という制度がある。
<異常分娩の費用について>

①帝王切開の費用はだいたい実質6万円
②吸引・鉗子分娩の費用は6,000円~2万5000円ほど
③入院日数は必ず伸びるので、その費用分も含めて10万円は予備で用意する。
<無痛分娩について>

無痛分娩は魔法ではない。帝王切開になることが多いという情報もある。
<産院を選ぶコツについて>

①安さよりも安心を基準に選ぶ方がいい。
②Webページはチェックする。

あー、こういう時に使える制度って何だったっけなぁ。無痛分娩が気になるけど、リスクってなんだったっけなぁ。とか、気になることをおさらいしたい時にもこの記事をぜひ活用してください。

私たちが経験したことや調査したことが、初めての出産を迎えるママ・パパたちの心の支えになれれば幸いです。


出産時に役に立つ情報としてこちらも是非合わせてご参照ください!


筆者たち家族による子連れのカフェ・グルメ巡り記事はこちらから!

    コンタクト