子連れで行くみちのく奥州『中尊寺』その感想と魅力、注意点をまとめました!

岩手県西磐井郡平泉町にある中尊寺は、平安時代末期に建立されました。かつて平泉に栄えた奥州藤原氏ゆかりの寺院として当時から地元の人々に愛され、教科書などで一度は誰もが名前を知っている「金色堂」があるのもこの場所です。奥州藤原氏の初代清衡によって、天治元年(1124年)に創建された「金色堂」は外装に金箔を施した豪華な様式で建てられており、日本の正式な国宝となっています。

今回はそんな中尊寺について、私たちが子連れで観光した感想をまとめさせていただきます。その魅力についてはもちろんのこと、散策で失敗したことやその解決方法なども掲載しているので、ぜひ子連れお出かけの参考にしていただけたら幸いです。

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子連れで行った感想

まず、周りの自然が最高に気持ちいいです。周りが東北の本格的な山と森に囲まれているのでマイナスイオンが溺れるほど身体にまとわりつき、まるで聖水を頭から浴びたかのような感覚になれます。そんな環境で寺院を巡るので、癒されること間違いなし。

多くの人が目的地としているであろう「金色堂」についてですが、こちらは正直…個人的にはあまり記憶に残りません。教科書などに載ってはいますが、インパクトは想像よりも下だった印象です。事前に「すごいよ!金ピカだよ〜!」と煽ってハードルを上げすぎてしまったせいか、子供たちも無表情…なんだか非常に申し訳ない気持ちに。

でも中尊寺の一番の魅力は、みちのくの大自然の中で森林浴をしながら歴史遺産に触れられる点。特に子供たちにとっては新鮮な経験ができたようで、参道を歩き回って非常に楽しそうにしていました。(もちろん他の観光客の邪魔にならないように!)

子連れとして最高に嬉しいポイントとして、有名なのに観光客はそんなに多くありません。ベビーカーでも行動しやすくてとても安心できると思います。なお寺院の敷地内には子供が食べられそうなものはあまり見受けられませんでしたが、駐車場や平泉の町にある飲食店はどれも非常に美味しそう。私たちが行ったのは近くにある『泉橋庵 総本店』ですが、本当に美味しくて感動しました。岩手県、ハマりそうです

マイナスイオンだだ漏れ。中毒なるわ
こんなん記憶に絶対残るっしょ

注意点まとめ

次に私たちが現地で困ってしまったことや気づいた点についてまとめさせていただきます。解決方法については下の「こちら」をクリックで、記事のその部分に飛ぶことができます。

■ベビーカーを忘れてはいけない!
→詳細が早く知りたい方はこちら

■本堂から近い駐車場を選ぼう!
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■オムツは駐車場で替えておいたほうが無難かも。
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■小さな子供の食べ物は持参したほうがいいかも。
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■寺院敷地内の飲食店の営業時間に注意。
→営業時間が早く知りたい方はこちら

それではここから、中尊寺での様子を写真とエッセイでお楽しみいただけたらと思います。

奥州を駆け抜けるラパン

この日は快晴。そして四連休の三日目。今回は比較的仙台に近いにも関わらず、今まで一度も訪れていなかった東北を代表する観光スポット「中尊寺」へ行くことにした。そもそも岩手県を観光するということがこれまでなかったので、道中はどのような景色なのかも含めて楽しみで仕方がない。

東北自動車道をラパンが頑張って走る。昨今主流となった省エネ高馬力のハイブリッド自動車たちがビュンビュンと追い越していく中、ポニーくらいの馬力しかないうちの可愛い車は法定速度をしっかり守りながら走っていく。熱中症を避けるためなのか、ガソリンはがぶ飲みだ。

上り坂ではまるでモナコGPのスポーツカーたちが全力を出している時のように

ぎゅーーーーーーーーんッ!?

というエンジン音が爆音で鳴り響くが、出るスピードは全く釣り合っていない。ちゃんと半年前に車検をしているので安心はしているが、えっほえっほと頑張る姿は見ていてちょっと可哀想になってくる。

そうやってのんびりと北上すること2時間ほど。平泉前沢ICで高速を降りて下道に入る。そこには宮城県や山形県とはまた違ったあまりにも美しい田園風景が広がっていて、思わず車を道の脇に停め少し降りてみることにした。

心を洗われるような景色。これが奥州か。これまで岩手というのはあまりイメージの湧きやすい土地ではないと思っていたのだが、来て早々に払拭された。これは目的地だけではなく、そのほか寄るところすべてに期待ができそうだ。この景色の中で育まれたのならば、その歴史も食べ物も、すべて良いに決まっている。そんな根拠のない確信が頭の中を駆け巡った。

息子を片手に景色を楽しむ私。

そんな美しい大自然の中を15分ほど走ると、ついに中尊寺の駐車場へと辿り着いた。時間は14時くらいだっただろうか。

敷地の端には4、5軒ほどの飲食店やお土産店が列をなしていて、観光地ならではの雰囲気を出している。その中でも特に「わんこそば」と書かれた看板には袖をぎゅんと引かれるものがあったのだが、この日は観光にゆっくり時間を使いたかったので我慢する。本当なら帰りにでも食べたいところだが、おそらく15時以降にわんこそばを出しているお店はほとんどないだろう。テレビでよく見る「はいッ!はいッ!」と次々お椀におそばを入れてくれるおばちゃんたちも自分の家の夕飯の支度があるに違いないのだから。

駐車場の飲食店たち。なんとも良い雰囲気である。

ベビーカーは必須だった

やけに戦国時代風のトイレ前にあったベンチでヒナ2羽におにぎりと水分を与えて、いざ出発。誰がどこから見ても入り口だとわかる場所から侵入した。さあ。我がファミリーでこの地を攻め落とすぞ!

あまり寺社仏閣に詳しくない私はこの時点で、上の写真の奥の角を曲がればもう中尊寺本堂に着くのだと思っていた。ハイテンションで皆を引き連れて出陣する。

しかしその期待も束の間。ゴールだと思っていた角を曲がった先の景色はこのようになっていた。

あれ。これから山登りじゃん

月見坂と呼ばれるそこは、まるで登山口のようだった。即座に今朝の妻とのやりとりを思い出す。ベビーカーを車に積むかどうか、聞かれたときに私が応えた言葉が耳の奥で何度も反響を始めた。

「ベビーカー?いらないっしょ。お寺でしょ。抱っこでいいっしょ。余裕〜。」

いまから思えばその口の中に将棋の駒をたんまり突っ込んでから殴ってやりたい。私はこの後、まだ歩けない娘を抱っこしたまま山を登り、お寺を回らなければならないのである。さあ、地獄の始まりだ。

そのまましばらく汗だくになりながら軽い山道を登る。自分で歩く息子のペースに合わせてゆっくりと進むのだが、娘を抱っこしながらはかなりキツい。おそらく普通に歩けば10分にも満たないで辿り着けるはずの道が30分以上はかかったベビーカーを持ってくればよかったのに

しかしその途中、汗と涙で明日が見えないまま薄れゆく意識の中で視界に映り込んだ光景はかなり素晴らしいものだった。この景色に癒されることで、私の心臓は鼓動を止めることなくなんとか中尊寺本堂のあるエリアまで辿り着いたのである。

この景色が月見坂の醍醐味なのだ。
息子はまだまだ歩みが遅い。
激しい森林浴。
弁慶の何かがあった。
左端にあるのはきっと鎌倉時代前からある歴史的な顔ハメパネルだろう。

堂、本堂

最初に現れたのは木漏れ日に照らされた薬師堂だった。ちょうど後ろを歩いていた、見るからに歴史に詳しそうな若い男性がそちらに向かったのを見て、私たちもついていく。なんせ何の予習もしてこなかったのでどこからどこまでが中尊寺の息のかかった建築物なのかすら知らないのだ。ちなみに途中で弁慶の顔ハメパネルがあったが、帰りに遊ぼうということでスルーしている。

ところでこの薬師堂、何だかやけに新しい。平成、いやもはや令和に建てられた感が満載だ。かなり最近にリニューアルオープンしたに違いない。そもそも薬師堂が何なのかということすら私は知らなかったのだが、あとで調べたところどうやら仏の世界には薬師如来という回復専門の白魔道士がいるらしく、その方を祀ったものであるのこと。

そんな知識ゼロ状態の私たちだが、その空気感と建築を楽しむのが目的なので特に恥じることも困ることもなく突き進んでいく。しばらく歩くとお土産屋さんや軽食屋さんが並ぶ場所があり、その正面には中尊寺の本堂が

迫力のある本堂。

ついに到着したのだ。非常に壮大な建物がそこにはあった。きっとここであの有名な金色堂も見られる。なかなかに長い道のりに感じたが、達成感はなかなかのものだ。

新しめの御堂の方へテクテクと歩く妻。

奥にはもうひとつ大きなお堂があった。こちらも新しくリニューアルしたと見られる外観。もしかしたら中尊寺は最近、全体的に修繕工事を施したのかもしれない。

そのお堂に続く道の隅には石碑が。見るとそれは東日本大震災の慰霊碑だった。中尊寺では2017年に7回忌の法要に合わせてこの碑を建てたらしい。あれからもう10年。当時大学3年生だった私も、今は2児の父になった。あの日のことはこれから必ず自分の子供たちに伝えていかなければならない。

東日本大震災の慰霊碑。正確には「慰霊供養の塔」。
どうやら現役らしい鐘。

こうして本堂を隅々まで観光した私と妻とヒナ2羽。しかし、どういうことだろう。金色堂がどこにもない。首を傾げながら本堂の端にいくと、そこにあったのは「金色堂はこの先」という看板だった。

堂、堂、堂

この隣か!そう思った我々は看板の指す方へ本堂を後にする。再びメイン参道に戻り、歩き始めたのだが…。

峯さんという白魔道士もいるということか。
こちらはやけに大事にされている鐘。

道沿いにあるお堂を4つ見てもまだそれらしき建物は見当たらない。いったいどこなんだ。もう誰かが攻め落としてしまったのか。そう思ったその時。

拝観券の販売所があった。というかお金必要だったんだ。本当に何の下調べもしていなかった私は意外な展開に驚く。と同時に、一抹の不安が頭をよぎった。

あれ、現金もってたっけ…?

我が家は基本的に現金を使わない。幾ら使ったか、幾ら残っているのかが10秒で把握できるように基本的にはネットバンクのデビッドカードを使用している。

近くのベンチに座り、慌てて財布の中身を確認した。通りすがりの人に連れていた犬コロが私のことを「中尊寺、舐めんなよ?」という目で見ている。中には千円札が2枚入っていた。よかった、足りる。

安心したので少しここにて休憩をすることにした。交代で娘を見張りながらトイレに行き、飲み物を買う。娘はベンチに座らせるやいなや、突然カバンを漁り出したのでケツを抑えて動きをぴたっと止めた

ケツを抑えられる娘。
妻は奥州はと麦茶を飲んでいた。私は瓶コーラ。
売店には南部鉄器が並んでいた。とても可愛らしいがお値段はあまり可愛くない。

いざ金色堂へ

3%くらいになっていた体力の充電も済ませたところで、いよいよ金色堂へ。五月雨が降り残していくピカり堂をいざ、この記憶に刻んでしんぜよう。ちなみにあの有名な芭蕉の句は「周りは廃墟みたいなのに金ピカ堂だけ美しい、ここだけ五月雨が降り残したんじゃね?」という意味で、当時の中尊寺全体をお洒落にディスったものだ。だって金色堂は当時から周りを屋根や壁で囲んで保護されていたのだから、比較的綺麗なのは当たり前。他がボロいということを言いたかったじゃないかと思う。実際、芭蕉は中尊寺の荒れようを嘆いていたというし。

そんな持論はさておき、拝観券を購入して敷地の中に入る。ちなみに拝観券は大人800円小学生未満は無料だ。これを手に入れることで讃衡蔵・金色堂・経蔵・旧覆堂を拝観できる

この建物で金色堂を囲って守っている。

こうして金色堂の中へ。いや、正確には金色堂を覆っている建物の中へ入った。大人の事情で中の写真を撮ることが出来ないのだが、その全てを伝えるべく率直な感想を端的に記しておく。

思ったより控えめでコンパクトな戸建てワンルーム(備え付け仏壇あり)」

期待しすぎるのは良くないが、一見の価値はある。というのが正直なところ。国宝にこんなことを言ったら国をあげて討伐されそうな気もするが、面白い度は70点くらいかもしれない。写真がNGなことで少々ハードルが上がりすぎているのもある。とりあえずピカァァァァッ!?と光っているわけではなく、割と現実的な輝きだった。

ちなみに備え付けの仏壇の下(中?)には奥州藤原氏3代目までのミイラと4代目の首が納められているとのこと。個人的には展示場所で流れている説明のナレーションがもうちょっと面白ければいいのになと思った。全然内容が入ってこなかったのでミイラのことも後で調べて知ることになった。そもそもそのことについて説明があったのかなかったのかすらわからない。あの場でミイラのことにも想いを馳せて眺めたかったのでちょっと悔しい。

外に出ると、旧覆堂という鎌倉時代から昭和にかけて金色堂を守ってきた先代の囲い屋根も保存してあった。こちらは多分そのまま残っているものだと思うが、ものすごい歴史観だ。この山で残っているもので1、2位を争う古い建築なのではないだろうか。

旧覆堂。すごく歴史を感じる。
芭蕉先生が句を詠んだ場所。
小さいがなんだか隙のない強そうなお爺さんだ。

子連れにも最高のスポット

こうして金色堂を鑑賞した私たちは、景色を楽しみながら来た道をもどって駐車場へと帰っていった。子連れで中尊寺に来る時にとりあえず言えることは、絶対にベビーカーは必須だということ。記事での私は娘を抱っこした上に息子の歩くペースに合わせてゆっくり登ったのでかなり体力的に厳しかったが、本来はとても緩やかな坂が続く歩きやすい山道であるベビーカーを使用して危ないようなタイミングはないと思われるし、実際に小さな子連れのお客さんはみんなベビーカーを使用していた。

もしベビーカーがない、という方がいらっしゃったら車を「坂の上駐車場」に停めることをオススメする。本堂まで240メートルと割と近いので第一駐車場よりは楽に到着するだろう。

各所のお手洗いには多目的トイレも必ずついているので、安心してお子さんと一緒に入ることができる。ただオムツを替えられるかどうかは不明なのであらかじめ駐車場を出るときに済ませておくのが無難だ。

途中で食べ物を売っている売店はあるが、餅系のものが多くあまり小さな子供が食べられそうなものは置いていなかった印象だ。拝観券売り場の近くの売店もしかり。食べ物は持参するのがいいかもしれない

またこの日は営業時間が終わってしまっていたので私たちは覗くことが出来なかったが、金色堂からもう少し奥に行ったところに「かんざん亭」というお食事処もある。平泉でとれた自然薯や山菜そば・うどん、まさかのマルゲリータピザもあるとのことなので閉店時間の16時までに間に合いそうであれば是非利用するのもいいと思う。

時期や時間帯にもよるのかもしれないが、中尊寺はその知名度に反して観光客が比較的少ない印象だった。子連れにとって人混みは非常に苦労をすることが多いと思うので、かなり楽ちんなスポットだといえるだろう。とにかく雰囲気は良いし山から見える景色は凄まじく美しい森林浴も存分に出来るので、岩手県を訪れた際には是非気軽に遊びにいってみたらいかがだろうか。

帰りに弁慶の顔ハメパネルで遊んだ。
娘はこの後、顔ハメパネルをぱくり。めちゃくちゃ焦ったがとくに身体は壊さなかった。顔ハメパネルで遊ぶ時は除菌シートで拭いてからにした方がいいかもしれない。

中尊寺情報

公式HP:https://www.chusonji.or.jp/index.html

住所:〒029-4102 岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202

駐車スペース【第一駐車場】
[本堂まで約850m]

平泉町平泉字衣関34-2
TEL:0191-46-2008
3~11月 8:30~17:00
12〜2月 8:30~16:30
年中無休
大型車:950円
マイクロ:800円
普通車:400円
自動二輪:50円

【第二駐車場】
[本堂まで約700m]

平泉町平泉字坂下29-9
TEL:0191-46-5178
3~11月 8:30~17:00
12〜2月 8:30~16:30
12〜3月 不定期休日有
大型車:950円
マイクロ:800円
普通車:400円
自動二輪:50円

【坂の上駐車場】
[本堂まで約240m]

普通車:500円
参拝時間境内通年開放
3月1日〜11月3日
8:30~17:00
11月4日〜2月末日
8:30~16:30
※10分前に拝観券発行は終了。
電話番号022-392-3373
拝観券大人 800円
高校生 500円
中学生 300円
小学生 200円
※団体割引あり

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